暫定税率について

    暫定税率について様々な意見が交わされておりますが、私は地方議員であるので地方の立場からの観点で私見をまとめようと思います。軽油については地方税の軽油引取税に分類され、県税として徴収され、福岡県のホームページによると、県に納められた軽油引取税の90%相当額の一部を北九州市と福岡市に交付することになっています。その道府県及び指定市がそれぞれ管理する一般国道及び道府県道の面積等に基づいて按分した上で、指定市に交付されます。
    1956年の創設されて最初は目的税として導入されましたが、現在は一般財源化されて用途制限も無く広く行政サービスの向上に使われているもので地方にとってはとても大切なものです。地方にとっては令和7年度については予算を組んでおりこれに対して暫定税率を軽油も含めて廃止すると地方税である軽油引取税がリッターあたり17.1円税収が減少する事になり、地方財政の直に影響することとなります。福岡市では令和5年度決算で軽油引取税の暫定税率分で27億円程税収があり、令和7年度でも同程度の額を見込んでいるとのことなので、暫定税率が令和7年度で11月から廃止されるとして、単純に月で按分すると福岡市では9億円程税収が減ることとなります。(翌月払い込みのため今年度は4ヶ月が影響)予算も組んでいるので財政措置をしないと予算を執行できません。
    維新が軽油を暫定税率から省いたというご指摘が一部SNS等であっていますが、吉村知事の5月29日のツイートから維新が暫定税率から軽油の除外を提案した、これは事実のようです。しかし、4月に軽油を含めた全ての暫定税率廃止を提案しています。これは今年から軽油を含めてしまうと、地方財政に影響し、住民サービスの低下を招いてしまう可能性を考慮してのことです。全部一気にできるだけ早くやった方がいいことはまさにそうであるとは思いますが、それでも現実的な、実務上一番混乱を生まないようなやり方を提案したというのが経緯だと思います。財政措置は必須であると思いますが、地方(特に徴収を担う都道府県)は制度改正によりどのような事務負担が生じるかを戦線恐々としながら注視しているのではないかと思います。財源と地方への影響を考えるというのは責任を持つ国政政党として当然の在り方ではないでしょうか。そしてこれに日本維新の会、国民民主党を含めた野党7党で合意して法案を提出したというものです。つまり、そもそも合意もしている内容であるのであれば批判をされるのも今までの経緯を知っていたのではないかと思うし、維新が減税を潰したというのも現実的な方法での最速を目指しているものであるので違った認識ではないかというのが私の見解です。もし、このような提案を維新がしなかったらおそらく自公は財源等を理由に反対し、結果的に政策施行は遅れていたと思います。(これも政権を担う与党として当たり前のことだと思います。)言い出しっぺはやはり叩かれる標的になります。しかしそれでも誰かが言わないと物事は前に進まない。それをやるために維新は国政にあるのだと再認識致しました。